論文掲載のお知らせ(井上登紀子主任研究員)

井上登紀子主任研究員の論文が「実践現場のための専門誌「介護福祉士」第30号」(公益財団法人 日本介護福祉士会 発刊)に掲載されました。
詳しい内容についてはこちらをご覧ください。 ⇒ https://www.jaccw.or.jp/projects/magazine


「外国人介護人材の受け入れと定着支援の実践に関する一考察 — A社会福祉法人の特定技能1号生を対象とした事例分析」
近年、介護職員の供給不足に対応するため、外国人介護人材の受け入れが進展している。本研究は、在留資格「特定技能1号」を有する外国人介護人材の受け入れおよび定着支援に取り組むA社会福祉法人の実践を事例とし、そのプロセスを分析することで、受け入れ支援の有効性および課題を探索的に検討するものである。
本研究の目的は、特定技能1号生の受け入れと定着支援に関する一資料を提示することにある。調査は2020年5月から2024年3月にかけて、参与観察およびアクションリサーチの手法を用いて実施した。分析対象は、A社会福祉法人における具体的な取り組みを記録した会議メモであり、受け入れの過程を三期に分けて分析・考察した。
A社会福祉法人においては、介護福祉士資格の取得を中心とした支援が長期定着に向けた軸となっているが、特筆すべき工夫として、①定期的なフォローアップ面談の実施、および②進路を自己選択できる仕組みの構築が挙げられる。一方で、介護福祉士国家試験の受験は、特定技能生にとって依然として高いハードルであり、その結果として転職を検討する者がいる実態も明らかとなった。