思春期のがんに着目した高等学校版「がん教育」支援プログラム構築
文部科学省はがん対策推進計画の中で、がんに対する正しい知識と認識を目指したがん教育を掲げ、平成26年度から小中学校のモデル校で実施しているが、内容は、大人のがん予防に着目して生活習慣を見直すものが多く、がん検診の啓蒙活動も行っている。しかし小児がんは生活習慣病と関係なく、がんの予防という観点からは説明できないため、小児がんを含めたがん教育を実施している学校はほとんど見受けられない。
今回、小児がんに着目したがん教育支援ツール(動画)を作成した。動画を視聴した生徒、教員、周囲の保護者が小児がんの病気や支援、治療を理解できることを目的に、小児がん経験者の小学生・中学生・高校生・大学生の4名と主治医2名、保護者2名が出演した。内容は、子ども本人は、してもらった支援、してもらいたかった支援や闘病への思いを話した。また、主治医や保護者は、がんの子どもに対して行った支援や治療、思いを話した。動画を視聴した高校生は、入院中の副作用や退院直後の体力の低下などを理解した一方で、傍にいること、肯定した声掛けの大切さやを学んでいた。また教育学部生や院内学級の教員は、入院中から継続した支援の重要性を理解していた。
担当研究者:就実大学 森口清美
研究期間:2020年10月1日~2022年9月30日